

ALCパネル 外壁 下地補修③
今回のテーマ【ALCパネル 外壁 下地補修③】
【シーリング材の亀裂・剥離】
継ぎ目及びサッシ廻りの既存のシーリング材は撤去し、新しくシーリング材を充填する打ち替えが基本となりますが、既存のシーリング材にまだ弾力があり打ちしろ(シーリング材を重ねて充填するだけの深み)がある場合は増し打ち(既存のシーリング材の上から被せる)を施すこともあります。シーリング打ち替えは高圧洗浄前に行います。これは高圧洗浄による継ぎ手部からの漏水防止のためです。 シーリング材にも適材適所で使い分けるべく種類がいくつかあります。ALC壁の継ぎ目・サッシ廻りには変性シリコンのシーリング材かウレタンシーリング材を使用します。変性シリコンシーリング材は耐久寿命が長く、動きに対しての追従性に優れています。シリコン系は塗膜が密着せず塗装が不可能なのですが、その中でもこの変性シリコンは塗装が可能なのです。ただし、ブリード(シーリング材と塗膜が化学反応をおこし、仕上げ面の塗膜が粘着性をもつことで埃を吸い付けてしまうため壁面が黒く変色する現象)を起こしてしまう為、変性シリコンシーリング材の充填乾燥後にブリードを防ぐプライマーを塗布します。その後、塗装工程に移ります。ウレタンシーリング材はノンブリードタイプ(塗膜と触れても変色しない)のものを使用します。
ALCパネル 外壁 下地補修②
今回のテーマ【ALCパネル 外壁 下地補修②】
【塗膜の浮き・剥れ】
浮いた塗膜や剥がれかけた塗膜はケレンをおこない綺麗に撤去します。撤去をすると膜厚分の段差がでる為、塗装後補修跡が出ない様にケレンした箇所に密着力を高める下塗材シーラを塗布し、乾燥後セメント系カチオン性下地調整塗材(密着性の優れたモルタルのようなもの)をコテ・刷毛で塗ります。 乾燥後に既存の外壁と模様をあわせるパターン処理を行います。 塗膜の浮き・剥がれは水分等の浸入や密着不良が起因と考えられるので水分等が浸入していると思われる箇所を特定し、水分等の浸入を防ぐ処理を行わないといけません。 それを行わなければ先に記した下地処理を行っても同じ事の繰り返しになってしまいます。
ALCパネル 外壁 下地補修①
今回のテーマ【ALCパネル 外壁 下地補修①】
浮きが無く、ひび割れ(表層部のクラック)のみの場合はフィラーの刷り込み(隙間を埋める材料)またはシーリング材で隙間を埋めます。酷いひび割れ(幅1mm以上の深層部に及ぶクラックの場合はUカット工法にて隙間を埋めます。Uカット工法とはクラック部分を機械でU字型に溝を彫った後に密着力を高めるプライマーという材料を塗ります。乾燥後シーリング材を充填して乾燥後にセメント系カチオン性下地調整塗材(密着性の優れたモルタルのようなもの)をコテ塗りします。そして下地と塗膜の密着力を高める下塗材シーラを塗布し既存外壁と模様を合わせるパターン処理をします。なぜこの処理が必要かは、建物の歪み等は地震で無い限り同じ方向にかかりやすくそれと同様にクラックも同じ場所にできやすい傾向にありますので多少の動きに追従するシーリング材を入れ、乾燥後に弾力のある材料を塗装することで塗膜が切れずクラックによる水分等の侵入を防ぐ為です。
パネルの浮き
水分等の浸入によりパネルの中にある鉄筋・ラス網の錆による鉄の膨張が起因であることが多いです。その箇所のパネル部分は落として、錆びた鉄部分をケレンして錆止めを塗布します。その後、セメント系カチオン性下地調整塗材(密着性の優れたモルタルのようなもの)でパネルの修復をします。
ALC 外壁
今回のテーマ【ALCパネル 外壁 塗膜】
塗膜の劣化(浮き・剥れ・褪色・白亜化)
外壁は工事完了時から紫外線・風雨・気温の変化などにより過酷な環境下にあります。防水の最前線にある塗膜の劣化は目視できます。褪色と白亜化(チョーキングといって、壁を撫でるとパウダー状のものが手に付きます)が代表的なものです。密着不良による塗膜の浮き・剥れは塗装施工上を起因とするものと水分等浸入によるものとありますので、原因を明らかにして対策を立てた後に再塗装を施すべきです。
シーリング材の劣化(亀裂・剥離)
シーリング材は乾燥後、ゴムのような弾力性を持ちます。劣化が進行すると、まず弾力が無くなり建物の動きに追従できず接着面から剥離したり切れたりします。目視で確認できますのでご自分で点検してみるのも良いでしょう。
ALC パネル 外壁
今回のテーマ【ALCパネル 外壁】
見た目は軽石のようでコンクリートとは思えないほど軽い板状の外壁材で高温高圧養生処理して作られた「軽量気泡コンクリート」と呼ばれる建築資材のことです。表面・断面には気泡穴がたくさんあり、中には防錆処理を施されたラス網・鉄筋が入っています。断熱性に優れています。
【ALCパネル外壁の劣化について】
ALC壁はパネルを縦横に繋いで1つの壁になっており、継ぎ目にシーリング材を充填することで建物の動き・歪みに追従できる構造になっているので、継ぎ目以外にひび割れをすることは少ないのですが、ALC素材自体は吸水性がある為、防水機能の役割を担っている塗装の膜が劣化することによって水分等が浸入し、パネルの中にある鉄筋・ラス網が錆びてきます。錆が進行すると鉄は膨張する為、その力によってパネルの内側から割れるわけです。これが、劣化の進行(表層の脆弱化→ひび割れ→浮き→欠損→鉄筋露出)の経緯です。



